Home＞menu＞１ ２ ３ ４ ５ ６ ７ ８ ９ ＞あらすじ第１０話「告白」＞last
天羽を待ってリサイクルショップで眠り込んだあたる。 明け方帰ってきた天羽に、父親とのことで素直にお礼を言った。 するといきなり抱きしめられた。びっくり。 「ま−た。からかってるんでしょ。」 あせりながら言うあたる。天羽はなぜか今日はストレート。 「なんかな、おまえといるとホッとする。」 そんな風に言われたら嬉しくなる。あたるも天羽を抱きしめる。 「今度さ、一緒にくじらとばそうか。」 ささやくように言う。今日の天羽はびっくり箱だ。 「え？」 「こないださ、一緒にとばそうと思っておまえんとこ行ったら、おまえこけて 飛ばせなかったじゃん。」 「ああ。」笑うあたる。 「今度一緒に飛ばそうぜ。」 「うん。やろう、やろう。」 「おう。」 あたるは夢を見ている気分。と、いきなり天羽が重くなる。 あたるはあせる。え、まさか？ 「ちょっとちょっと、照れるなあ。え？ え？」 重みに絶えきれずソファに倒れ込んだ二人。 「ん？」 あたるが気づくと天羽は・・・寝ている。 「うそ−、寝てるよ。ふつうこういう時寝るかな？」 ちょっと呆れて、でも毛布をかけてやる。熟睡している天羽。 「疲れてるんだ。」 寝顔を見ていて、ふいに何かを思いついたあたる。いたずらっぽく笑う。 さて何だ？ さくらは伊倉とよりを戻して、ごきげんの朝帰り。 台所ではカヲルがひとりで朝ご飯。 「あれ？ 洋子虫とおとまりじゃなかったの？ あ、ふられたんだ。」 容赦ないさくらに言い返すカヲル。 「俺がふったの。」 「カヲルさ、そういうときは嘘でもふられたってことにしといた方が、 男が上がるんじゃないの？」 「そうなの？」 「ま、洋子虫相手じゃ言いたくなる気持ちもわかるけどさ。」 「おまえあれだろ。ま−た、ゲソとより戻したんだろ。」 さくらは悪びれもせず手に持っていた鍵を振り回す。 「へへ、合い鍵ゲ−ット！」 「ほんと、懲りないよな。」 「あれ？ あたるは？ 帰ってないの？ あのふたりとうとうできたんだ。」 カヲルにはこれもちょっとこたえる。さくらは見逃さない。 「ショックでしょ。」 「ショックじゃないよ。」 強がるカヲル。 「おまえさ、朝ご飯食べろよ。」 言われてご飯をよそいながら、さくらが言う。 「カヲルもさ、あたるのことも卒業して、洋子虫のこともすっぱり忘れて、 新しい恋したら？」 「へ？」 「最近顔つき悪いよ。不幸しょってるって感じ？ なんなら女の子紹介しよっか？」 つきあっていられない。 「おまえさ、食べたら食器洗って、あたるの分はラップかけて 冷蔵庫しまっとけよ。」 そんなカヲルを見送ってさくらはつぶやく。 「やっぱり新しい恋させなきゃね。」 外の明るさに寝返りをうち、ふと目が覚めた天羽。 目の前にあたるの寝顔。あたるの体を自分の手が抱いている。 ここは・・ソファベッド？ 自分は・・下着姿？ 「嘘っ！！」 ガバッと起きあがる天羽。夕べの記憶が途中から・・ない。 横で毛布にくるまって眠っているあたる。 そーっと毛布をめくろうとすると、あたるが寝返りをうってびびる。 むにゃむにゃいいつつ、あたるも目を覚ました。 天羽と目があってにっこり笑う。 「おはよう。」 ドギマギしながら天羽も答える。 「おはよ・・う。」 「あたしも寝ちゃった。」 のんきに寝ぼけ声のあたる。 天羽はおそるおそる聞く。 「あ〜、あの・・さぁ、寝て・・ないよな？」 「寝たよ。」 「え！？」 あわてる天羽。 「ぐっすりね。」 また眠ろうとするあたる。 あせってその横に座り込む天羽。 「えー、そうじゃなくて、俺とおまえが、その、なんつーか。」 「なんつーかぁ？」 あたるの声音が変だ。天羽はようやく気がつく。 「あー？」 「こっちは寝てても寝てなくてもどっちでもいいよ。 そっちの好きな方でいいよぉ。」 このまえあたるに、天羽が言った台詞だ。 悟った天羽があたるの毛布をはぎ取る。 「おまえなぁ、って服着てるし。−ったく。」 「ひっかかったぁ。あははっ」 やられた、と脱力する天羽。大喜びのあたる。 「へへ、このまえのお返しだよ。」 即座に天羽は逆襲を始めた。 「何、おまえさ、俺が欲しいわけ？」 「へ？」 「な−んだ、素直に言ってくれればいいのに。 よし、これからエッチしようか？」 「え？ え？」 今度はあたるがあせる。 「今さら迷うことないじゃん？」 あたるを抱き寄せようとする天羽。固まるあたる。 「ま、迷ってるわけじゃないって。」 「だってさ、服脱がしてくれたじゃん。」 「そ、それはさ、ちょっと苦しそうだったから。」 「言い訳しなくていいよ。」 髪をなでられてさらにあせる。 「だからホントはね、ちょ、ちょっといたずらしようかなーって。」 「また−。」 すっかり天羽のペースにはまったあたる。 ベッドに転がされて、天羽の長い手に後ろから抱きすくめられ、 あせりまくる。 「そんなに照れることないって。」 「て、照れてるんじゃなくて、あせってるっていうか。」 「そりゃあせるよなぁ。俺とおまえ、初めてだもんなぁ。」 耳元でささやかれて、必死で逃げて起きあがる。 「そ、そうじゃなくて。」 「そうだろ？」 言われて考える。 「そうだけど・・って違うよ。そういう意味の、そうじゃなくて。」 「じゃあ、どういう意味のそうなの？」 「えーと、だからね、そのそうじゃなくて・・。」 自分で何を言ってるのかわからなくなって悩むあたる。 そんなあたるを楽しむ天羽。 そのとき、あたるは何か物音を聞いた。 「あ、あ、今、入り口のドアが開いた！」 天の助けとばかりに訴えるが、意に介さない天羽。 「鍵、かかってるから、大丈夫だって。」 また肩ごと転がされてつかまってしまう。 「お客さん来るってばー。」 ふたりがじたばたじゃれ続けているところに声がした。 「天羽くん？」 戸口に現れたその客は驚いた。 「へ？」 一斉にガバッと起きあがるふたり。あたるも思わず声が出る。 「へ？？」 美人。 天羽はバツ悪そうに頭をかいている。 初めてだがあたるは直感した。 あわてて立ち上がりながら訊こうとする。 「あ、あの、グラスの口紅の・・」 美人は何を言われているのかわからない顔。それはそうだ。 あたるは天羽を振り返る。 「・・人？」 「ああ。」 笑ってうなづく天羽。さっさと着替えを始めた。 あたるは必死で説明しようとする。 「別になんにもないんですよ。ちょっとじゃれてたっていうか。」 その美人がおかしそうに笑いだした。 「天羽くんにからかわれてたんでしょ。」 なんとも邪気のないさわやかな笑顔。 「ほんとにこの人、どうしようもないでしょ。 いつまでたっても子どもみたいで。」 言いながら、慣れた手つきで部屋に散らかっている服を片づける。 靴下をさがす天羽に「はい」と手渡す。なんとも自然。 「あなたがあたるさん？」 美人の名前は津田遙（はるか）。 遙はこのリサイクルショップのオーナーの娘なのだとか。 「私がこの支店を任されてたんだけど、父の体調が悪くて、 いまは本店を手伝ってるの。」 そこで天羽が支店の臨時店長を頼まれたというわけ。 あたるが気になるのは２人の関係。 遙は慣れた手つきで天羽の身のまわりの世話をしている。 あたるの目には友達以上の親密さに見えた。 何より遙という人が、文句のつけようがなかったのだ。 「さっぱりしててさ、優しくて、嫌みなとこなんて全然なくて。 お弁当おいしかったぁ。」 家に戻ったあたるは、事の次第をカヲルとさくらに説明する。 「松の女って感じ。それも特上の。」 「天国から地獄に落とされたわけだ。」さくらはあたるをからかった。 「まだ彼女かどうか分かんないだろ。」 カヲルの慰めにもあたるの表情は晴れない。 「あの２人が微笑みあっていると、すごくイイ雰囲気なんだよね」。 あたるはため息をもらした。 その頃、店には伊倉と洋子が連れだって姿を現わした。 ふたりとも遙の存在と天羽との親密さに驚いていた。 「私ね、シングルマザーなの」。 離婚して、今年小学生になる良介という子供がいるという。。 「ママは僕が守ってあげる、なんて言ってくれるの」 「いいなあ、そういうのって」。 洋子はうらやましそうだった。 「略奪愛しちゃえ」。 さくらにけしかけられて、その気になったあたるだったが、 いざ遙を前にすると気分はなえてしまう。 ２人の仲むつまじさに割りこむ隙はない。 「じゃあ天羽くん、ちょっと借りるね」 「どうぞどうぞ」。 本店のセールの手伝いに、遙は天羽を連れていってしまった。 １人店番に残されたあたるは、さっき遙に聞いた事実に めげていた。。 「やっぱあの２人、つきあってたんだ」。 遙と天羽は学生時代からの友人で、遙が一つ年上だが、 つきあったこともあるらしい。 あたるがブルーになっていると、菜々が顔をのぞかせた。 思いきって告白した相手にふられたという。 「お酒、飲む？」 「なんか今日の先輩はやさしいですね」。 あたるには菜々のことが他人事と思えなかった。 さくらと伊倉はカヲルを元気づけようと合コンを企画した。 女性陣は洋子に頼んで、部下の沙耶、ミドリ、トモコという顔ぶれ。 男性陣は伊倉の部下の井上、小林。 たまたまバイト募集の貼り紙を見て、会場の居酒屋にやってきた あたるもメンバーに加えられてしまった。 「お前、どうしてここに？」。 「面接に来たら、なんかね。」 同じ頃、リサイクルショップでは、天羽と洋子が飲んでいた。 「遙さんていいわよね。シングルマザーなのに、子育ても人生も 楽しんでるって感じで。 ああいう生き方っていいわよね。」 「でもさ、簡単なことばかりじゃないかもしれないよ。 遙は結構強いから弱音なんかはかないんだけどさ。」 「見た目は弱そうだけど、芯は強そうだもんね。」 遙を思い浮かべる洋子。 「で、あたるさんのことはどうするの？」 「そっちこそ。カヲル君のことはどうするの。」 「それは、そっちがあたるさんに行くのなら、考えようかな。」 「お、じゃあまだカヲル君のこと忘れてないんだ。」 「んー、でもね。夢も捨て切れそうにないしね。」 洋子は迷っていた。 主役はカヲルのはずが、いつになく酔っぱらって足もたたない。 「あたしたち、先に帰ってるから」。あたるはカヲルをおぶって店を出た。 「このへんでいいか」。 ところがしばらくすると、カヲルはしっかりと立った。 酔っていたのはお芝居。 洋子の部下と新しい恋なんて、そんな気分じゃない。 「あたる、リサイクルショップのバイト、やめんのか？」 「その方がいいのかなって。」 「あいつのことあきらめるのか？」 「・・その方が、いいのかなって。」 ２人が家に戻ってみると、さくらが血相をかえて伊倉に塩を投げつけていた。 さくらの目を盗んで、伊倉がミドリとキスしていたらしい。 「もう２度と私の前に現れないでっ！」。 さくらは伊倉にマンションの合鍵をたたきつけた。 「ハハハ、お騒がせしました」。相変わらず伊倉はこりてない。 もはや、カヲルもあたるも騒ぐ気もおきない。 あたるはすっかり弱気になっている。 「あいつのこと、忘れようとしてるの？」 「これ以上好きになるとしんどいしね。」ため息をつく。 カヲルはそんなあたるに聞く。 「そんなんで、忘れられるの？」 「忘れられないから、バイト変わろうかなって。」 「ふーん、それでこの先ずっと、もやもや抱えて生きて行くんだ？」 「自分だって、洋子虫忘れられなくて、逃げてるじゃない。」 ふたりともぶつかっているものは同じだ。 出勤したあたるは、また遙の車をみつける。 「まだ品物足りないんだ。」 店へ入ると、運び疲れて休んでいる天羽と遙の会話が聞こえてくる。 「あの箪笥がさ、重くて。肩がガチガチ。」 「どれどれ。」 「あ、そこそこ。天羽君、うまいね。」 「こんなんで良かったらいつでもやったげるよ。」 「まーた、君はそういうおいしいこと、さらっといっちゃうんだから。」 その親密さが辛くて、あたるはごまかしてその場を逃げた。 天羽もなにか感じたが、今は本店へ急がなくてはならなかった。 遙も気にしていたが、軽くいなす。 「あいつなら大丈夫だよ。」 テラスでぼんやりと歩いていたあたるは、２匹のくじらの風船をみつける。 約束を思い出す。天羽の言葉。 『今度一緒にくじら、とばそっか。』 その約束が今は辛い。 「できない約束なんてしないでよ・・。」 店から帰ったあたるが部屋でこたつ虫をしていると、天羽がやって来た。 「何？」驚くあたるにしれっと言う台詞。 「エッチしにきたー。」 「はあ？」 「昨日しそこなったじゃん。」そのままあがりこんでしまう。 こたつにバイト雑誌を広げたままのあたるはあせる。 「ちょっと」 「ほら、たこ焼き」 「あ、ありがと。」煙にまかれてしまう。 「今日はひとりで店番、ご苦労様でした。」いいながらベッドに腰をおろす。 「そっちはセール、どうだったの。」 とりあえず聞きながら雑誌を隠そうとするあたるだが、 手近にあったひとつを天羽にとられてしまう。 「ん、まあまあかな。いや店帰ったらさ、おまえもういなかったから 気になってね。・・何これ。 バイト？」 雑誌の内容とその意味に気づく天羽。 あたるはきまずそうにたこ焼きをぱくつきながら、視線をそらす。 「おまえな。」 怒りながら雑誌をバンと放り投げ、あたるのそばに座り直す天羽。 「遙のことだったら、おまえが考えているような関係じゃないぞ」。 「あたしが考えてるって？」 「たしかに昔つきあってたけどさ、大学の時から５年ほどかな。 でもいろいろあって別れて。彼女はその後結婚して、子供産んで。 まあ、離婚しちゃったんだけど。それから再会して。 今はいい友達って言うか、お前とカヲルくんみたいな関係？ だから困ってる時は助けてやりたいと思うし、大切に思ってる。」 それはまじめな言葉だった。いつもみたいにごまかしたりしない率直な言葉。 なのに今のあたるは素直になれない。 「そっちのことなんか、別になんとも思ってないし」。 あたるは強がってみせた。天羽は表情を変えるとそのまま帰ってしまう。 追いたくても追いかけられない。 廊下で出くわしたカヲルに漏らす天羽。 「俺にはよくわかんないわ、あいつ。君に任せるわ。」 天羽はバイクに乗りかけてあたるの部屋を見上げ、走り去った。 残った爆煙が苛立っている。 聞いていたカヲルはあたるに怒った。 「自分で自分の恋ぶっ壊してどうすんだよ。 向こうが心開いて話してるのになんでそうなるわけ？ 相手の思いとか、聞かなくなったらおしまいだぞ。今のおまえ、最低だ。」 あたるにもそれはわかってはいたのだ。 だが、健に逃げられたショックが尾をひいていた。 「怖いんだよ。また、健ちゃんの時みたいに逃げられたら、 傷ついたらどうしようって。怖くて、怖くて、行けないんだよ。」 まだ心のリハビリ、できてなかったんだよ」。 あたるは苦しい胸の内をカヲルにだけ打ちあけた。 店へもどった天羽。奥でくじらの風船が二つ揺れている。 それを見上げる天羽の表情が苦い。 と、携帯が鳴った。 「はい。俺に話？ なんでしょう。」 誰からだろう。 カヲルがあたるを連れて家へ戻ってくると、洋子が家の前で待っていた。 さくらは敵意をむき出しにした。 「なんで来るのよ。カヲルのことは終わったんでしょ」。 洋子はぽつりとつぶやいた。 「会いたかったのよ。好きになったんだから仕方ないでしょ」。 せきを切ったように、洋子は涙まじりにカヲルに対する思いをまくしたてた。 いつもクールな洋子がこんな情熱的な素顔をひめていたとは。 カヲルはそんな洋子がたまらなく愛しく思えた。 「けっこう捨て身だったよね」 「でも、いいよね。」 「あそこまでやるとは思わなかったよね。」 さくらとあたるも洋子の姿に心をゆさぶられた。 「みっともなくたっていいか」。 ２人はそれぞれの相手に向かう勇気をもった。 そのころ、携帯を切った天羽。 誰からの何の話だったのか、くじらを見上げる。それから頭を抱えた。 だがすぐ決心したように、くじらをつかむと店を出た。 カヲルは洋子に自分の気持ちを伝えた。 「俺のそばにいてよ。」 二人の気持ちは久しぶりに重なった。 さくらは伊倉のマンションを訪ねたが、 合コンの時キスしていたミドリと鉢合わせした。伊倉は冷たく言い放った。 「もうお前にはあきたよ」。 さくらはショックに打ちのめされた。 あたるはリサイクルショップへ向かう途中のテラスで、 くじらの風船をもった天羽をみつける。 「覚えててくれたんだ。」 嬉しくなったのも束の間、天羽は握っていたくじらを離してしまった。 飛んでいく２匹のくじら。切なそうに見送る天羽。 呆然とみていたあたるは、叫んだ。 「ちょっとぉ！」 天羽があたるに気づく。 「なんでひとりでとばしちゃったのよ！」 口元をゆがめて、天羽はさっさと行ってしまった。 なにか嫌な予感があたるを襲う。 あわてて追いかける。 店へ戻ってきた二人。 「ねえ、なんで？」 「何しに来たんだよ。」 天羽の言葉は冷たい。あたるは怯む心を奮い立たせる。 「エッチしにきた。」 「はあ？」 さっき天羽の言った台詞だ。 「今までずっとしそこねてたでしょ。だから。」 苦笑する天羽。 あたるは天羽に自分の気持ちをぶつけた。言葉を必死で探して。 「あなたのこと、すごく気になってる。遙さんの事もすごく気になってる。」 「自分の気持ちにきづいたけど、健ちゃんの時みたいに傷つくのが怖くて。」 「自分の心にブレーキかけようって。 これ以上あなたを好きになるのやめようって。」 「でも、ブレーキかけようとすればするほど、 あなたを見てるのも辛くなって。」 「バイトやめたら、会わなくなったら、そのうち忘れられるかなって。」 「でも、駄目だった。」 「あなたを好きなこと、止められなくて。」 涙で声が途切れた。 天羽はゆっくり近づくと、あたるの顔を優しく両手で包んだ。 「もういいよ。もういいから。」 ２人はそっとキスをした。 しかし体を離した天羽の目はどこか痛々しげだった。 「けど俺、お前の気持ち、受け止めらんないわ。」 そのまま出ていってしまう。 あたるは思わず叫んた。 「なんでェ！」。──。 |