あーっくそ、頭に来る。
だからおっさんは嫌いなんだよ。

なんでもかんでもわかってる風で、人を小馬鹿にした顔してさ。
なのになんもできない中年。

……まあな、キングは違うけどさ。


ここらでキングを知らない奴なんかいない。
クラブのオーナーで伝説のホストで、表にも裏にも顔がきく。
落ち着いて格好いい大人の男。間違っても中年のおっさんなんて呼ばれない。


ああそうだよそのとおり。
認めるさ。
認めたくないのはなんであんなすげえ人と、ショーコがくっついたのかってとこさ。


今でも信じらんねえ。やっぱりガセじゃねえのか？
そりゃあ噂は山ほど聞いた。ふたりで歩いてるとこも見た。
ショーコがめろめろなのはわかってる。

さっきだって。


久しぶりにショーコに会ったんだ、ばったり。
こんな時間にひとりで歩くには向かない格好だった。
すげえ綺麗にドレスアップしてて見違えた。


俺が捨てた女。
地べた這いずって俺にすがりついた女はどこいったんだよ。
びっくりしてびびって。無性に腹が立った。


なんだよ背伸びしやがって。
ショーコには俺っくらいが丁度いいじゃんて、本音が出そうだった。


だから言っちまった。俺とやりなおさねえって。
口が勝手に。
モデルなんかじゃなくて、俺ともっぺんてさ。


ずっと思ってたんだ。あれから。
ショーコを取り戻したいって。


ああつくづく馬鹿だな俺。
なんで失くしてからじゃねえと、気がつかねえんだろう。
ちくしょう。



七夕だ？　んなもん知るか。
どいつもこいつも、ふられちまえ！





　　　　　　　　　　　　　　　　　＜　hiro's　Hitorigoto　／　end　＞