「花紅柳緑」　１４．　再会

「花は紅　柳は緑」　１４．　再会

一方、空知は相変わらずの毎日を送っていた。

ちょっと変わったことといえば、あのあと蘭をクラブへ誘ったくらい。

まだ１，２回程度だが。

放課後。部活にも入ってない空知は帰る気にもなれず、

思いついて屋上へ上がった。たまにそういう時がある。

ところが先客がいた。あの－。

「うまくのらねえなぁ。もっとこう、つながる言葉ってないかな。」

「なんだよ、拓で駄目ならどうすんだよ。」

「ヒップホップは独特なんだって。参ったなぁ。」

「どれどれ、・・・・・んーっと・・。」

例の４人組が雁首そろえてあーだこーだ。

なんだよ、この人達ってみんな部活の柱だろ？　こんなとこで何やってんだか。

しかもどうやら、彼らはラップと格闘してる様子。

鼻歌と言葉でわかる。

「いまいちだなぁ・・・あれ。」

視線に天羽が振りかえって、空知はしっかりみつかった。

「よう、おまえ。また逢ったな。」

てんでのんきな挨拶に、とりあえず頭を下げる。

「・・・そうだ、ちょっとこいよ。」

何を思ったのか手招きされる。

他の３人もこっちを向いたので逃げるのは諦めて近寄った。

「おまえ、あそこに来てたくらいだから、ラップも好きなんだろ？」

「そりゃまぁ・・。」

「ちょっとさ、知恵貸してくれよ。どーも俺達才能ないらしくてさ。」

見せられた楽譜と書きかけの歌詞。

・・・この音って・・・あれ？

意外そうな顔を上げると、ニヤニヤしてる４人。

「この音をメロディラインにしてやるんだ。書けるか？」

「んな急には。」

「じゃ３日。どう？」どんどん押し迫られるような。

「土曜にさ、『ＦＲＥＥ』で待ってる。それでいいか？」

否なんて言える雰囲気じゃなかった。頷く以外の選択肢ってあるのか？

「おー、ありがたい。」　拓が喜ぶ。

「頼むわな。」　豪がドンとどつく。

「めどが立ちそうじゃん？」　完が天羽に振りかえる。

「ラッキー♪」

天羽が例によってニヤッと笑った。