「花紅柳緑」　１１．　try-go-change-end

「花は紅　柳は緑」　１１．　try-go-change-end

「キャーッ！」

「何っ？」

突然の闇に、パニックになりかけるフロア。

「誰も動くな！」　その声はさっきの。

「Ｇｏ！」

闇の中で誰かが動く。わずかな光が走り抜ける？

空知はわけがわからず。

ただ「守ってろ」といわれた言葉どおり、怯える蘭を抱えている。

闇から洩れてくるのは、押し殺した声の応酬。

「Change？」

別の声が走った。

「OK！」

「End！」

最後にもう一度天羽とかいうあいつの声がしたと思ったら、

パッと灯りがついた。その間、十数秒？

ステージの上に手足をセロテープで縛り上げられて、あの3人が転がっていた。

唖然と見つめる店内の客たち。いったい何が起こったのか？

それは蘭と空知も同じで。

だが、空知は急に出口へと突っ走った。

「う、碓井くんっ？」

「待ってろっ。送るからっ。」

それだけ言って飛び出す。

表に出てきょろきょろ見渡すと、

人ごみの向こうに確かに、あの背の高い彼が見えた。

あわてて追いかける。

歩いているのは４人。その中に彼－天羽って奴もいる。

追いつくにつれ聞こえてくる会話。

「あー、おもしろかった。」

「あいつらここんとこ、おいたが過ぎたからさ。」

「オーナーが今度奢ってくれるって。」

「拓（たすく）も顔が広いぜ。」

「豪にあんな早業ができるのが不思議だぜ。意外に器用だよなぁ。」

「”意外に”ってなんだよ？」

「警察に突き出してもよかったのにさ。」

「完。ああ言う奴らは恥かかせるのが一番効くって。」

「それ、天羽に言われたんだろ、豪。」

「あたり～。」

「らしいや。」

「あははーっ。打ち上げやろうぜっ。」

「あんたたちっ！」

何もわからぬまま、空知は声をかけていた。