「花紅柳緑」　２．紅の花々

「花は紅　柳は緑」　２．　紅の花々

女生徒のみの現生徒会。だが、男子も侮れぬ粒ぞろいだ。

だからこその「表の紅（おもてのくれない）」である。

書記は、春野　蘭（はるの　らん）。ただ一人の新２年生。

華やかな名にふさわしい雰囲気を持っている。

薄明るい茶色の髪をおかっぱに切りそろえて、

にっこり笑うとまさしく春をふりまくよう。

至っておとなしい性格だが、華道に秀でテニス部所属。

何より、人を和ませることにかけては右に出るものはいない。

根津　慶子（ねづ　けいこ）は新３年。会計を受け持つ。

理系の彼女はシンプルなメガネの奥に怜悧な瞳を隠している。

コケティッシュな容姿に騙されやすいが、一番冷静で先読みする頭のよさ。

計算の天才でもある。

ショートカットのくせっ毛がその顔を縁取り、シャープな頭脳を和らげて見せる。

若林　香代（わかばやし　かよ）も新３年。副会長。

体は華奢だが、その腕で強い弓を引く。弓道部部長兼任の武道派。

ストレートの髪はポニーテールにされた高さからさらりと流れる。

理知的でありながら愛嬌も持ち合わせる。

そして。

彼女らの上で校内をまとめあげ、時に教師を含めた学校側と渡り合う生徒会長。

新３年の二木　紀佳（にき　のりか）。

どこか日本的な名前とは対照的に、なんともゴージャスな容姿。

艶やかな巻き毛は腰までなだれおちる。整った眉とアイラインいらずの瞳。赤い唇。

メリハリのあるボディ。良くも悪くも隙のないタイプ。

頭脳も運動も人後に遅れをとる事はない。

『Miss　Red』、　『Red　in　the　Reds』－紅の中の紅－。

伝統ある柳高の生徒会においても、初の女性会長であり同時に、

これまでで最も実力と華を備えた会長だろう、と言われている。

「表の紅（おもてのくれない）」とは実は、

柳高の名から学校側を緑として、それと戦う生徒会という意味で、

いつからか生徒間で名づけられた生徒会の異名なのだが。

現在に限っては華やかさ、女性を意味するところにもなっているようだ。

一方、「表」があれば「裏」がある。

柳高には密かに伝えられるもう一つの名前もあった。即ち。

「裏の緑（うらのみどり）」　－Green　of　the　Greens－　

だが噂でしかなく、その先を語る者はいなかった。

その意味は－－？