half.　暁　


眠るのが惜しかった。
彼の息づかいを聞きながら眼を開ける。

キングのベッド。
キングの腕の中でキングの寝顔を見ていられる。
なんて贅沢。



ベッドサイドのデジタル時計がカサリと数字を代えた。
残された時間はあとちょっと。



キスの経験値は上がったつもりだったけれど、素肌を触れ合わせながら絡める舌はとんでもなかった。

どこもかしこも静電気を帯びてるみたいな肌は、彼の指が触れる一ミリ手前でバチバチと電流が走る気がした。

貧弱な胸とか薄い腰とか細いだけの手足とか、どれだけ着飾っても全てはぎ取られたらあとは隠したくなるようなコンプレックスばかりで。


それでも大事に触れられているのはわかった。


彼にとっては決して珍しくもないだろうひととき。
でも、自分にとっては煌めく星となるだろうひととき。



そっとふれるまぶた。
ここに宝石が隠れている。彼だけが持つ金色の輝き。

神様。どうか。
あたしがもう一度ここに、必ず戻ってこられますように。





前髪にかすかなキスをする。

時間だ。
起こさぬようにそっと抜け出した毛布。


夏の朝は夜明けが早すぎるのが悔しい。
カーテンのむこう、朝が消し去った星をショーコは偲んだ。





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