６．＜　比翼連理　ひよくれんり　＞


天にあれば比翼の鳥。
地にあれば連理の枝。



太陽が空を、夜明けの曼荼羅まんだら　から青へ染め変えていく。

見届けたトラは、寄り添って眠るねこを呼ぶ。
鼻面でつつかれても、ねこの眼は線のまま。


「出かけるよ」

眼が開く。
パチパチと瞬きを数度。
ガバッと身を起こす。

「はいっ」

その勢いに、思わずトラが笑い声をたてる。
ねこがポカンと見上げてきた。


「何？」
「だって。　笑うから」
「おや。　笑ったことがないみたいだね」
「そんな風に声を立てるのは初めて」

ねこの顔がふにゃりと溶ける。

「嬉しい」


面食らったトラはそっぽをむくと、前足でひげを拭う。
汗も拭った。

先が思いやられるね。
まぁそれもいい。

「行くよ」
「うんっ」



空は高く、地平線は遠く。
想いはもっと果てしない。

君は自由。
私も自由。
望んで一緒に歩くだけ。


願わくば、いにしえの言葉どおり。

天でも地でも共にありたい。
鳥となり、枝となって。





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