１０．　＜　問答　＞


問いが自分の中にある。


足を向けたのは暇だったから。
それだけのつもりが。
目に飛び込んだ光景に、抱いていた期待を知る。


ひとつの毛糸玉のようにじゃれあう、２匹の猫。
日だまりの中で楽しげに。
誰が見てもほほえましいはずなのに。


身を翻した。
不快だった。
何故？


そこで止まる思考。

面倒だと思うそばから、暇だったろと、囁きがする。
このいまいましさこそ、ねこがトラにもたらすもの。

面倒なのに。
ひとりを暇と思わせるほど、時を満たしてしまう存在。


追いかけてくる気配は、とっくに感じてた。
無視しても諦めることはない。
トラはようやく立ち止まり振り返る。
ゆっくりと。


飽くほどに生きてきたトラに、飽くことを忘れさせる。

ねこ。
君は何。


見つめるトラ。
鬼ごっこは終わっても、問いは終わらない。
二人の狭間で。


私にとっての君は。
何。


答えもきっと。
自分の中。