| Start Line
|
 プロローグ −Rainy Morning−
目覚めた美琴が感じたのは違和感だった。 見慣れたようで久しぶりの。 何故？ 灯りがつくみたいに気づく。そう、久しぶりだったっけ。 この部屋も。 ベッドも。天井も。 家を離れて４ヶ月。忙しくて戻る機会もなかった。 母のことだからきっと、美琴が出て行ったそのままに違いない。 とりあえずほこりはなかったから掃除くらいはしたのだろうか。 起きあがると薄暗い窓ガラスに雨が伝い落ちている。 ああ。 やっぱり雨。 天気予報はずれなかったな、残念。 への字に曲げた口元はでも、すぐに解けて笑みに変わった。 いいんだわ。だって。 あたしたちは出逢いも、雨の日だったんだから。 |