21. 革命 右生 （水曜日の恋人） 21. 革命 右生 （水曜日の恋人）
『 革命 ……ある状態が急激に発展、変動すること 』 深海の底で波動に添ってゆらぐ。 それだけが俺の毎日だった。 この何年か。 盛り場を荒らして過ごしたのも。 転がっているのを遼子に拾われたのも。 キングに出会いホストになったのも。 Man Hall のNO.2まで上りつめたのも。 全てどこか遠かった。どうでもよかった。 俺自身ははるか離れた水底で、沈んだまま動くことなく。 そこで朽ち果てたかったのかもしれない。 いつのまにか。 ひらひらと舞い下りてきた魚が１匹。 深海には不似合いな色と泳ぎ。 物珍しさで、居ることを許した。 どうせ息苦しくなればいなくなる。そう思ってたのに。 苦しそうでも逃げようとしない。 真っ向から挑んでくるばかり。逃げることを知らない。 鮮やかに閃く尾からまき散らされる欠片。 水底へは届くはずもない、遠い空からの。 光。 俺は目を細める。 怯えと怖れ。露わにされる己の姿。 長く潜んだここから、俺を揺り起こす。 麻痺した無感覚を突き破ってくる。 儚く小さな存在からの、思いもかけぬ力。 心に浮かんだ遠い太陽。 初めてかすかに俺は身じろぎ、無意識に水面を仰いだ。 光のリボリューション。 深海から、空は見えないー。 ＜ 21 / end ＞ |
| 07.03.07. 改訂 |
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